2017年7月23日日曜日

ミャンマーへの政府開発援助(ODA)

ODAとは?

ODAとは、Official Development Assistance(政府開発援助)の頭文字を取ったもの。
政府または政府の実施機関によって、開発途上国や国際機関に供与される。開発途上国の経済・社会の発展や福祉の向上に役立つために、公的資金を用いた資金・技術提供による協力を指す。

日本政府による無償資金協力

《平成26年度》
マラリア対策機材整備計画
工科系大学拡充計画
新タケタ橋建設計画
教員養成校改善計画
地方村落電化計画
通関電子化を通じたナショナル・シングルウィンドウ構築及び税関近代化計画
シャン州ラーショー総合病院整備計画
人材育成奨学計画

《平成25年度》
鉄道中央監視システム及び保安機材整備計画
カヤー州ロイコー総合病院整備計画
貧困農民支援
ラカイン州、カチン州及び北部シャン州における避難民に対する緊急食糧支援計画(WFP連携)
カチン州及びラカイン州における避難民の子供に対する緊急支援計画(UNICEF連携)
ミャンマー南東部、ラカイン州、カチン州及び北部シャン州における避難民援助計画(UNHCR連携)
ヤンゴン市内総合病院医療機材整備計画
ラカイン州道路建設機材整備計画
中央銀行業務ICTシステム整備計画
第二次気象観測装置整備計画
ミャンマーラジオテレビ局(MRTV)番組ソフト及び放送編集機材整備計画(一般文化無償資金協力)
ヤンゴン市上水道施設緊急整備計画
人材育成奨学計画

《平成24年度》
農業人材育成機関強化計画
病院医療機材整備計画
気象観測装置整備計画
全国空港保安設備整備計画
バルーチャン第二水力発電所補修計画
ヤンゴン市フェリー整備計画
カレン州道路建設機材整備計画
少数民族地域におけるコミュニティ開発・復旧計画(国際連合人間居住計画(UN-HABITAT)連携)
少数民族地域における地方行政能力,生計及び社会統合向上計画(国連開発計画(UNDP)連携)
少数民族地域における避難民支援計画(国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)連携)
少数民族地域における食糧支援計画(世界食糧計画(WFP)連携)
通信網緊急改善計画
貧困農民支援
ノン・プロジェクト無償資金協力
中部地域保健施設整備計画
エーヤーワディ・デルタ輪中堤復旧機材整備計画
沿岸部防災機能強化のためのマングローブ植林計画
人材育成奨学計画
少数民族地域を含む貧困地域への食糧支援計画(国連世界食糧計画(WFP)連携)

日本政府による有償資金協力

《平成26年度》
ヤンゴン・マンダレー鉄道整備計画(フェーズ1)(第1期)
ヤンゴン都市圏上水整備計画
ティラワ地区インフラ開発計画(フェーズ2)
バゴー地域西部灌漑開発計画

《平成25年度》
貧困削減地方開発計画(フェーズ1)
インフラ緊急復旧改善計画(フェーズ1)
ティラワ地区インフラ開発計画(フェーズ1)
債務救済措置(債務免除方式)

《平成24年度》
社会経済開発支援計画
債務救済措置(債務免除方式)

1.ODAの概略

ミャンマーに対する我が国の経済協力は、1954 年の「日本・ビルマ平和条約及び賠償・経済協力協定」に始まり、1968 年に円借款、1975 年に無償資金協力の供与を開始した。しかし、1988 年の民主化要求デモおよび、その後の国軍による政権の掌握等の政情に鑑み、原則として経済協力を停止した。
1995 年以降民生分野についての経済協力が一時開始されたが、再び2003 年にアウンサンスーチー氏が3 度目の自宅軟禁となる状況等を受け、一部の人道案件などを除き、新規の経済協力を基本的に停止した。2007 年には、燃料価格の引き上げを契機としたデモを軍が武力で鎮圧するなどの状況を踏まえ、経済協力はさらに絞り込む方針となった。
2011 年1 月、20年ぶりの総選挙の結果に基づく国会が召集され、3 月には民政移管が行われた。2012 年4月にはアウンサンスーチー氏率いる国民民主連盟(NLD)の補欠選挙への参加が実現し、アウンサンスーチー氏も議員として選出された。また、新政権発足以降、恩赦による600 名以上の政治犯の釈放、少数民族武装組織との和平交渉の進展など、国内の民主化・和解に向けた大きな進展が見られている。
新政権の民主化への取組を受け、2012 年 4 月、ミャンマーに対する経済協力の方針を見直し、本格的な支援の再開を表明した。
2013 年には、同国の円借款延滞債務解消のための措置を実施するとともに、同年5 月の現職総理の訪問としては36 年ぶりとなる安倍総理のミャンマー訪問に際して、円借款 510 億円、無償資金・技術協力400 億円の合計910 億円を同年度末までに順次進める旨が表明され、本格的な経済協力が再開した。

2.意義

ミャンマーは、中国、インドの間に位置する地政学的に重要な国であり、我が国の重要なパートナーであるASEANの加盟国である。
また、ミャンマーと我が国の間には歴史的友好関係が培われており、ミャンマー国民は極めて親日的である。我が国はミャンマーが民主的で市場経済に立脚した安定した国となることが重要と考えており、ミャンマーをASEANの繁栄・安定・統合に貢献する国として確立していく観点からも、ミャンマーに対する援助は意義がある。


3.基本方針

ミャンマーの民主化および国民和解、持続的発展に向けて急速に進む同国の幅広い分野における改革努力を後押しするため、引き続き改革努力を見守りつつ、民主化と国民和解、経済改革の配当を広範な国民が実感できるよう取り組んでいく。

4.重点分野

1.国民の生活向上のための支援(少数民族や貧困層支援、農業開発、地域の開発を含む)医療・保健、防災、農業等を中心に、少数民族や貧困層支援、農業開発、地域開発への支援を推進。
2.経済・社会を支える人材の能力向上や制度の整備のための支援(民主化推進のための支援を含む)留学生・研修生の受入れ、教育支援などの人材育成、制度整備・運用能力の向上支援。
3.持続的経済成長のために必要なインフラや、制度の整備などの支援円借款も活用した、エネルギーや交通網の整備などのインフラ整備などを促進。

5.援助協調の現状と日本の関与

ミャンマー政府の民主化への本格的な取組を受けて、2012 年以降、欧米諸国の段階的な制裁解除の動きが活発化し、各国ドナーおよび国際機関も長期的な対ミャンマー支援に着手した。
2013 年1 月には、ミャンマー政府が開発協力フォーラム(MDCF)を主催し、「効果的な開発協力のためのネーピードー・アコード」を採択、援助の効果的な実施に向けて、パリ宣言、アクラ行動計画、釜山成果文書を踏まえて、①開発の優先順位の明確化、②法整備や行政機能の強化、③ミャンマーの独自性や主体性への配慮、④貧困削減など国連ミレニアム開発目標(MDGs)達成支援、などを踏まえて協力を進めることを確認した。
同フォーラムの結果を踏まえ、国連が主催する既存の「援助関係者会合(MPG: Myanmar Partnership Group)」および、ドナー・コミュニティーによる「援助効率化パートナーシップ会合(PGAE: Partnership Group for AidEffectiveness」を活用してフォローアップ会合を行い、協議・調整を行っている。
既存の各セクターの分科会に加え、MDCFの結果、15 の新たな分科会が設立されており、2013 年中には分野別にミャンマー政府との調整を行う新たなメカニズムを形成する方向で、調整が進められている。
2013 年 7 月にはドナー側とミャンマー政府との間の調整を行う場として、開発パートナーワーキング委員会(DPWC)が設立され、ドナーの代表として我が国も参加し、ミャンマー政府およびドナーとの間で緊密に連携を取りながら、効果的な開発協力のあり方について協議を続けている。

表-1 主要経済指標等



出典)World Development Indicators(The World Bank)、DAC List of ODA Recipients(OECD/DAC)等
出典詳細は、解説「4 各国基本データの出典(ページix~)」参照。
注) 1.貿易額は、輸出入いずれもFOB価格。
   2.面積については“Surface Area”の値(湖沼等を含む)を示している。


表- 2 我が国との関係











出典)貿易統計(財務省)、貿易・投資・国際収支統計(JETRO)、
[国別編]海外進出企業総覧(東洋経済新報社)、
海外在留邦人数調査統計(外務省)、在留外国人統計(法務省)
出典詳細は、解説「4 各国基本データの出典(ページix~)」参照。


表- 3 主要開発指数















出典)World Development Indicators(The World Bank)、
         World Malaria Report 2012(WHO)
出典詳細は、解説「4 各国基本データの出典(ページix~)」参照。

表- 4 我が国の 対ミャンマー 援助形態別実績(年度別)

(単位:億円)












1.年度の区分は、円借款および無償資金協力は原則として交換公文ベース、技術協力は予算年度による。
2.金額は、円借款および無償資金協力は交換公文ベース、技術協力はJICA経費実績および各府省庁・各都道府県等の技術協力経費実績ベースによる。草の根・人間の安全保障無償資金協力と日本NGO連携無償資金協力、草の根文化無償資金協力に関しては贈与契約に基づく。
3.円借款の累計は債務繰延・債務免除を除く。
4.2008~2011年度の技術協力においては、日本全体の技術協力事業の実績であり、2008~2011年度の( )内はJICAが実施している技術協力事業の実績。なお、2012年度の日本全体の実績については集計中であるため、JICA実績のみを示し、累計についてはJICAが実施している技術協力事業の実績の累計となっている。
5.四捨五入の関係上、累計が一致しないことがある。


表- 5 我が国の対ミャンマー 援助形態別実績( OECD/DAC 報告基準)

 (支出純額ベース、単位:百万ドル)










出典)OECD/DAC
1.国際機関を通じた贈与については、2006年より、拠出時に供与先の国が明確であるものについては各被援助国への援助として「無償資金協力」へ計上することとしている。また、OECD/DAC事務局の指摘に基づき、2011年には無償資金協力に計上する国際機関を通じた贈与の範囲を拡大した。( )内は、国際機関を通じた贈与の実績(内数)。
2.政府貸付等および無償資金協力は、これまでに交換公文で決定した約束額のうち当該暦年中に実際に供与された金額(政府貸付等については、ミャンマー側の返済金額を差し引いた金額)。
3.政府貸付等の累計は、為替レートの変動によりマイナスになることがある。
4.技術協力は、JICAによるもののほか、関係省庁および地方自治体による技術協力を含む。
5.四捨五入の関係上、合計が一致しないことがある。

表- 6 諸外国の対ミャンマー経済協力実績 (支出純額ベース、単位:百万ドル)






出典)OECD/DAC

表- 7 国際機関の対ミャンマー経済協力実績

(支出純額ベース、単位:百万ドル)








出典)OECD/DAC
注)順位は主要な国際機関についてのものを示している。

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